近年では省エネルギーへの関心の高まりに伴い、業務用エアコンのJIS(日本工業規格)も改正されて、より省エネルギー性の評価を使用状態に近い方法で行うため、2006年10月から従来のCOP(エネルギー消費効率)に加え、APF(通年エネルギー効率)へと表示方法の追加を行いました。
また2015年4月には、APFの運転音の表示が新しい指標に変更されるなど、時代の省エネルギー対策に伴って業務用エアコンのJIS規格も改正されています。
2006年9月まで採用されていたCOPとは、「Coefficient Of Performance」の略で、定められた温度条件でのエアコンの運転効率を評価する方法として表示されていた規格で、定格冷房や定格暖房の消費電力が1kWあたりの冷房・暖房能力を表しており、「COP=定格能力(kw)÷定格消費電力(kw)」で算出することができます。
また、2006年10月から追加表示されたAPFは、建物の用途や試用期間などをあらかじめ設定しておき、より実際に使用している状態に近づけた業務用エアコンの運転効率を表示させるもので、1年を通じてある一定条件の下でエアコンを使用した場合の1kWあたりの冷房・暖房の消費電力を表したものです。
この表示の算出方法は、「APF=【冷房期間+暖房期間で発揮した能力(kWh)】÷【冷房期間+暖房期間の消費電力量(kWh)】で表されます。
この追加規格の算出方法は、(1).東京地区を条件として、店舗やオフィスなどで使用されているエアコンは「戸建て店舗」をモデルとして、またビル用のマルチエアコンや設備用エアコンは「事務所ビル」をモデルとして、年間の総合負荷を算出していきます。(2).定格冷房や定格暖房、低温暖房能力に、中間冷房や暖房能力を加えた5つの評価点を算出することで、(1)で求めた年間総合負荷に応じたエアコンの消費電力量を算出することで求めることができます。
2015年3月に業務用エアコンのJIS規格が改正され4月から新しくなった「APF2015」とは、従来の2006タイプに対して、空調負荷や外気温度の発生時間などを、より現実に合わせた条件の下で算出した新方式で、従来の2006タイプで採用されていた5つの評価点に、「中間冷房中温」・「最小冷房中温」・「最小暖房標準」の3つの評価点がプラスされ、合計8つの評価点からより詳細に算出されるようになっています。
その8つの評価点の詳細は、冷房における定格標準・中間標準の測定空気条件は「室外35℃DB」、中間中温・最小中温は「室外29℃DB」で、暖房における定格標準・中間標準・最小標準は「室外7℃DB/6℃WB」、最大低温は「室外2℃DB/1℃WB」で表します。
AFP2015の対象機種としては、「店舗・オフィス用エアコン」・「ビル用マルチエアコン」・「設備用エアコン」のうち、定格冷房能力が56kW以下の「空冷式冷房専用形」と「空冷式冷房・暖房兼用形(ヒートポンプ等)」が対象となっています。